以前、このブログで、対位法のテキストを、いくつかご紹介しました。
→【対位法の勉強】
対位法の勉強については、
難しい!
眠くなる
課題を解くのが面倒
などという声をチラホラ聞きます。
確かに、作曲家を目指す人にとっては、必要不可欠な科目ですが、演奏家にとっては、少々(いや、かなり!?)とっつきにくいというか、敬遠されがちな科目の一つでしょう。
対位法の勉強というと、机上で課題を実施することに終始しがちですが、ピアノ作品を弾きながら、体得・体感することをオススメします。
何と言ってもオススメの作品は、
バッハの「インベンション」
です。
中でも、第4番(d moll)、第8番(F dur)、第14番(B dur)は、比較的取り組みやすいと思います。
これらの曲は、演奏テクニックもそれほど高度なものは要求されませんし、主題の反復や反転、反復進行(ゼクエンツ)、転調などの構成についても、わかりやすいと思います。
個人的には、第6番(E dur)が気に入っています。↓
主題と対主題とが順次進行による反行で始まり、シンコペーションによってリズムを「ずらす」テクスチュアーが、とても面白いと思います。曲が進んでいくと、主題と対主題が反転してあらわれたり、大胆な跳躍も含まれていたりなど、右手と左手の旋律が互いに共存・競合していて、対位法の妙味あふれる曲の一つだと思います。
参考音源→こちら
バッハのインベンションは少しハードルが高いと感じる方は、
バッハの「アンナ・マグダレーナのためのクラヴィーア曲」から抜粋して弾いてみるのも良いでしょう。
↓は、その曲集の中で最も知られている曲の一つ「メヌエット」です。
また、モーツアルトの初期の作品もオススメです。
KV 番号の10番台くらいまでの、少年時代に作曲したと伝えられている小品です。
なーんだ、子どもの頃の作品か〜と侮るなかれ!
どれもが音楽的に完成され、かつ愛らしい作品です。
当時、少年モーツアァルトは、対位法もしっかりと学んでいたでしょうから、その学習の成果が随所にあらわれているのでは?誰しも、習得したことは作品に取り入れてみたいと思うでしょうから。
ちなみに、↓は、「メヌエットKV. 2」です。「KV. 2」(ケッヘル番号2)とは、モーツァルトの作品を年代別に編纂したケッヘル氏によると、生涯で2番目に作曲したとされる作品です。
たった24小節の小品ですが、各声部の進行やフレーズの組み合わせ方について、示唆に富む作品の一つだと思います。また、主題となるモチーフ(1小節目の右手の旋律)が、移高され、あるいは変奏されて、何度も繰り返されますので、モチーフの展開法の勉強にもなりますね。
個人的には、曲の途中(第9〜12小節)で、F dur(ヘ長調)からg moll(ト短調)に転調しているところが面白いと思っています。普通だったら、属調のC dur(ハ長調)か、平行調のd moll(二短調)に転調するところを、ヘ長調のII度調へ転調しているからです。神童モーツァルトのなせるワザでしょうか。。。
参考音源:YouTube
🎵🎵🎵🎵🎵
ところで、対位法というと、主に、バロック期以前の作品に用いられている作曲技法という認識が多いようですが、古典派以降、現代までの作品にも、その手法は散りばめられています。
特に20 世紀以降の、シェーンベルク、ベルク、ヴェーベルン、バルトーク、ストラビンスキー、、、、などなどポストロマン派の作曲家たちは、それまでのホモフォニー中心の技法から、ポリフォニーの手法への回帰を試みています。
また、管弦楽や室内楽等の作品は、時代に限らず、対位法の手法なくして成り立ちません。
私が本格的に作曲の勉強を始めた頃、早くオーケストレーションの勉強をしたくて、当時師事していた先生に、そのことを伝えました。そうしたら、先生は、
当時は、その先生の元で、集中的に対位法を勉強していたのですが、まだまだマスターしきれていない、まだ、オーケストレーションを学ぶ準備ができていない、という意味だったのでしょうか。。。
オーケストラ作品や室内楽作品に限らず、合唱曲、吹奏楽など、多くの音楽には、対位法を駆使したポリフォニーの要素を含んでいます。
対位法の勉強は、決して作曲家を志す人だけのものではありません。
演奏家の方も、対位法を学ぶことによって、アンサンブルの際、自身のパートと他のパートとの関係性を、対位法の観点からアナリーゼすることができ、より音楽的な演奏を実現できると思います。
何より、対位法的な理解を通して、その作品の奥深さや美しさをより実感できると思います。
関連ページ:
・和声感を身につけるためのオススメ練習曲
・和声のテキストー和声学って難しい?
・一人ひとり専用Webページで学ぶ和声オンラインレッスン
・一人ひとり専用Webページで学ぶ「オンライン楽典ルーム」
・作曲のための音楽理論オンラインレッスン
→【対位法の勉強】
対位法の勉強については、
難しい!
眠くなる
課題を解くのが面倒
などという声をチラホラ聞きます。
確かに、作曲家を目指す人にとっては、必要不可欠な科目ですが、演奏家にとっては、少々(いや、かなり!?)とっつきにくいというか、敬遠されがちな科目の一つでしょう。
対位法の勉強というと、机上で課題を実施することに終始しがちですが、ピアノ作品を弾きながら、体得・体感することをオススメします。
何と言ってもオススメの作品は、
バッハの「インベンション」
です。
中でも、第4番(d moll)、第8番(F dur)、第14番(B dur)は、比較的取り組みやすいと思います。
これらの曲は、演奏テクニックもそれほど高度なものは要求されませんし、主題の反復や反転、反復進行(ゼクエンツ)、転調などの構成についても、わかりやすいと思います。
個人的には、第6番(E dur)が気に入っています。↓
主題と対主題とが順次進行による反行で始まり、シンコペーションによってリズムを「ずらす」テクスチュアーが、とても面白いと思います。曲が進んでいくと、主題と対主題が反転してあらわれたり、大胆な跳躍も含まれていたりなど、右手と左手の旋律が互いに共存・競合していて、対位法の妙味あふれる曲の一つだと思います。
参考音源→こちら
バッハの「アンナ・マグダレーナのためのクラヴィーア曲」から抜粋して弾いてみるのも良いでしょう。
↓は、その曲集の中で最も知られている曲の一つ「メヌエット」です。
また、モーツアルトの初期の作品もオススメです。
KV 番号の10番台くらいまでの、少年時代に作曲したと伝えられている小品です。
なーんだ、子どもの頃の作品か〜と侮るなかれ!
どれもが音楽的に完成され、かつ愛らしい作品です。
当時、少年モーツアァルトは、対位法もしっかりと学んでいたでしょうから、その学習の成果が随所にあらわれているのでは?誰しも、習得したことは作品に取り入れてみたいと思うでしょうから。
ちなみに、↓は、「メヌエットKV. 2」です。「KV. 2」(ケッヘル番号2)とは、モーツァルトの作品を年代別に編纂したケッヘル氏によると、生涯で2番目に作曲したとされる作品です。
たった24小節の小品ですが、各声部の進行やフレーズの組み合わせ方について、示唆に富む作品の一つだと思います。また、主題となるモチーフ(1小節目の右手の旋律)が、移高され、あるいは変奏されて、何度も繰り返されますので、モチーフの展開法の勉強にもなりますね。
個人的には、曲の途中(第9〜12小節)で、F dur(ヘ長調)からg moll(ト短調)に転調しているところが面白いと思っています。普通だったら、属調のC dur(ハ長調)か、平行調のd moll(二短調)に転調するところを、ヘ長調のII度調へ転調しているからです。神童モーツァルトのなせるワザでしょうか。。。
参考音源:YouTube
🎵🎵🎵🎵🎵
ところで、対位法というと、主に、バロック期以前の作品に用いられている作曲技法という認識が多いようですが、古典派以降、現代までの作品にも、その手法は散りばめられています。
特に20 世紀以降の、シェーンベルク、ベルク、ヴェーベルン、バルトーク、ストラビンスキー、、、、などなどポストロマン派の作曲家たちは、それまでのホモフォニー中心の技法から、ポリフォニーの手法への回帰を試みています。
また、管弦楽や室内楽等の作品は、時代に限らず、対位法の手法なくして成り立ちません。
私が本格的に作曲の勉強を始めた頃、早くオーケストレーションの勉強をしたくて、当時師事していた先生に、そのことを伝えました。そうしたら、先生は、
オーケストレーションの勉強のためには、まず、対位法をマスターしていなければならない。と、おっしゃいました。
当時は、その先生の元で、集中的に対位法を勉強していたのですが、まだまだマスターしきれていない、まだ、オーケストレーションを学ぶ準備ができていない、という意味だったのでしょうか。。。
オーケストラ作品や室内楽作品に限らず、合唱曲、吹奏楽など、多くの音楽には、対位法を駆使したポリフォニーの要素を含んでいます。
対位法の勉強は、決して作曲家を志す人だけのものではありません。
演奏家の方も、対位法を学ぶことによって、アンサンブルの際、自身のパートと他のパートとの関係性を、対位法の観点からアナリーゼすることができ、より音楽的な演奏を実現できると思います。
何より、対位法的な理解を通して、その作品の奥深さや美しさをより実感できると思います。
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