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仙波明子さんマリンバリサイタルのお知らせ

マリンバのために作曲した「木霊」を仙波明子さんに演奏していただきます。 仙波明子マリンバリサイタル “木霊、音のつぶやき” 日時:2014年1月25日(土)14:00 〜 会場: アクトシティ浜松 研修交流センター音楽工房ホール 入場料:一般 2,000円、高校生以下 無料(全席自由) 詳細につきましては、 こちら  もご覧ください。 「木霊」は、2011年に、私の作曲の師匠の退官記念演奏会で、仙波明子さんに初演していただきました。 その後、「岐阜市民芸術祭 '12」で再演され、今回が3回目の演奏となります。再演の機会をいただきましたこと、大変嬉しく思います。 マリンバのための《木霊》は、芭蕉の有名な句『閑かさや岩にしみ入る蝉の声』が詠まれたことで知られる山形の 立石寺(通称:山寺) を訪れた際の印象をあらわしたものです。 曲は、緩ー急ー緩の3部構成となっています。 第1曲:静寂の中、蝉の声、鳥の声、湧き水の音、木々のざわめきなどがシャワーのように降り注いでいる様、そして、それらの音が奇怪な様相の岩に反響して聴こえてくる様をイメージして作曲しました。 第2曲:第1曲とは対照的に、動きのある曲想となっています。「木霊」は樹木に宿る精霊で、山中を敏速に自在に駆け回るとされているそうです。様々な音が反響し合い、山の中を「ぐるぐる巡っている」様を表現してみました。 第3曲:山寺周辺の夕暮れ時をイメージしています。奥深い山あいに立地しているためか、夏にもかかわらず夕方4時頃になると既にあたりは薄暗く、人気のない参道にはヒグラシの鳴き声がもの悲しく響き渡っていました。その侘しさを、同音連打およびトレモロ奏で表現してみました。  コンサートでは、この「木霊」の他、このコンサートのために編曲したハチャトゥリアン作曲『仮面舞踏会』より「ワルツ」を演奏していただきます。2台マリンバ、ピアノ、パーカッションという、ちょっと珍しい編成となっています。この曲は、フィギュアスケートの浅田真央さんのフリー演技の曲としても有名になりましたね。オーケストラ版とはまた異なるエキサイト感を醸し出せるよう、いろいろと工夫を凝らしたつもりです。こちらの方もぜひ、お楽しみください。 その他の演奏曲も、マリンバ界の大御所

心が折れそうになった時...

「人の一生は重き荷を負うて 遠き道を行くが如し...」とは、徳川家康が残した名言の一つですが、この通り、人生には耐えねばならないことが、たくさんありますよね。 もう、耐えられなくて、我慢できなくて、どうしようもなくなった時、私は、 自ら「立ち直り3部作」と名付けたピアノ曲を弾きます。 1. バッハ/半音階的幻想曲とフーガ  ↓ 2. シューベルト/即興曲第3番  ↓ 3. ベートーヴェン/ピアノソナタ「悲愴」第2楽章 バッハの「半音階的・・」で、精神的に追い込み(落ちるところまで落とし)、シューベルトの即興曲で希望を見いだし、最後、「悲愴」第2楽章で平和な気分に浸る、あるいは、悟りの境地まで昇華させる...のです。 その時の状態によっては、 「半音階的・・」を弾いている時、涙を流しながら、これでもか、これでもか、と自身を追い込んでいきます。そんな時は、シューベルトを弾いていても希望の光が見いだせず、逆に内声のfigurationが悲しみを煽り、さらに心はざわめいてきます。 でも、そんな時でも、「悲愴」第2楽章を弾き始めたとたん、救われた、と感じます。 この曲の最初のAs dur(変イ長調)の和音は、癒し効果抜群だと、私は思うのです。 この和音が、もし1オクターブ上で弾かれるものだったら、そのようには感じないでしょう。もちろん、他の調でもダメだろうし...  なんだろう? あの音域の、あのポジションに手をおいて音を出した瞬間、すーっとカラダが浄化されていく...という不思議な感覚になるのです。 ということで、 先日も、 心が「折れそう」なほどではないですが、「何だかなー」と思うことがあったので、この3作品を弾きました。 やっぱり救われました。おかげで今は、前向きにガンバッテいこうと、すっかり立ち直っています。 音楽って、本当に素晴らしいですね! (そう言えば、「映画って本当に素晴らしいですね!」という名言ありましたね。。。) ちなみに「半音階的幻想曲とフーガ」は、私のバイブルと言っても過言ではないほどの曲です。これまでに国内外で、いろいろな先生にレッスンしていただきました。 レッスンを受けた 楽器も、ピアノのみならず、チェンバロやクラヴィコードでも。 この曲は、 d moll(ニ短調)ですが、曲の最後は、D dur(ニ長調)

クリスマス曲の編曲

2日ほど前、クリスマスコンサートのための編曲のお仕事を無事終えました! 「ジングルベル」や「サンタが街にやってくる」など、お馴染みのクリスマス曲をメドレーで繋いだものです。 メドレーの場合、曲と曲の繋ぎ方にひと工夫が必要なのです。 前の曲から自然な流れで次の曲へ...と、いつも心がけています。 クリスマス曲の編曲をする時は、曲の規模によっては夏頃から準備を始めるので、とーっても暑い中、気持ちはクリスマス気分に浸らねばなりません。 猛暑の夏の年は、全くクリスマス気分になれず、ゆえに創作のイメージも涌かなくて、ひと苦労したことも.... ところで、毎度のことながら、クリスマスの編曲が終わると同時に、私の中ではクリスマスは終了〜です。 創ったものを何度も何度も楽器で弾いて確かめたり、コンピュータ音源で再生している内に、充分クリスマスを味わった気分になってしまうからです! コレって、悲しい職業病!?

マリンバのための「木霊」の再演

この度、マリンバ独奏のために作曲した「木霊」を演奏していただくことになりましたので、お知らせいたします。 【仙波明子マリンバリサイタル “木霊、音のつぶやき”】  日時:2014年1月25日(土)14:00 〜  会場: アクトシティ浜松 研修交流センター音楽工房ホール  入場料:一般 2,000円、高校生以下 無料(全席自由)  詳細につきましては、 こちら  をご覧ください。  楽曲「木霊」については、 →こちら  をご参照ください。 なんと、 高校生以下は無料! ですよ! 「木霊」は、2011年に、私の作曲の師匠の退官記念演奏会で、仙波明子さんにより初演いただきました。 その後、「岐阜市民芸術祭 '12」で再演され、今回が3度目の演奏となります。 いわゆるゲンダイ音楽の新曲は、その知名度の低さ、その理解不能さ(?)、により、なかなか再演されにくいことが多いのですが、このように、数回にわたって演奏いただき、大変嬉しく思います。 また、この曲の他、このコンサートのために、ハチャトゥリアン作曲『仮面舞踏会』より「ワルツ」を、2台マリンバ&ピアノ&パーカッションという編成で編曲させていただきました。 この曲は、フィギュアスケートの浅田真央ちゃんのフリー演技の曲でも有名になりましたね。オーケストラ版とはまた異なるエキサイト感を醸し出せるよう、いろいろと工夫を凝らしたつもりです。こちらの方も、ぜひお楽しみくださいませ。 その他の演奏曲も、マリンバ界の大御所、安倍圭子氏の作品はじめ、マリンバの魅力に溢れたものばかりです。また、馴染みのあるクラシック作品も組み込まれているそうですので、マリンバという楽器が初めての方でも充分、楽しめると思います。 お近くにお住まいの方、マリンバという楽器に興味のある方、「木霊」という曲に興味を持っていただいた方、、、、ぜひぜひ、ご来場ください。

プーランク作曲「子象のババールのお話」The Story of Babar by Poulenc

注文していたプーランク作曲「子象のババールのお話」のピアノ譜が届きました。 ゾウが主人公の絵本に音楽を付けるお仕事を戴いているので、参考にしたく、購入しました。 輸入楽譜なので、当然、中身はフランス語〜 ストーリーを知っているので、だいたいは予想はつきますが、、、 これを機に、もう一度、フランス語を勉強し直そうかな、、、などと、、、ちょっと思っただけで、きっと実行しないでしょう(汗) で、早速、弾いてみました。 オーケストラヴァージョンのCDは持っているので、音楽はイメージできているのですが、ピアノで弾くのは初めてでした。弾いてみると結構ムズカシイ! オケがやっていることを一人でカバーしなければならないので、大変なのは当然ですが、こんなに音が重なっていたのですね〜。あらためてピアノ譜を見て発見できることって、多いですね。 お話は子ども向けですが、音楽はプーランクそのもの(当たり前ですが、、、) フランス音楽特有の和声が、ファンタジーの世界を創り出しています。お洒落で、味わい深い、、、 絵本に付ける音楽というと、子どもっぽいというか、アニメの主題歌っぽいというか、そのような曲が多いけれど、やはり、この「子象のババールのお話」のように、芸術性あふれるものを目指したいと思います。

ビゼー作曲「小さな木の実」の編曲

ビゼー作曲「小さな木の実」を、歌(ソプラノ、メゾ・ソプラノ)、ヴァイオリン、ピアノ連弾の5人の奏者によるアンサンブルのために編曲しました。 私、不勉強にも「小さな木の実」がビゼー作曲のものだとは、今回この依頼を受けるまで知りませんでした。 むかし、NHK「みんなのうた」で聴いた印象が強く、てっきり日本の曲だと思い込んでいました。 で、調べたましたところ、ビゼー作曲によるオペラ「美しいパースの娘」の中の「セレナーデ」が原曲とのこと。歌詞は、この歌劇とは全く関係ないそうで、メロディも少し書き換えられているそうです。 ビゼー作曲であると知らなかったことへの償い(?)として、編曲はフランス音楽風のこじゃれた感じにしてみました。そして、フランスと言えばシャンソン、ということで、シャンソン風なrecitativoの要素も加えてみました。 手前ミソですが、ヴァイオリンの哀愁を帯びた、いわゆる「泣きのフレーズ」が売り(?)です。 この作品は 10月30日(水)11:30〜12:30  宗次ホール (名古屋市) ランチタイム名曲コンサートVol.859 "コンサートグループ「花の詩」 メンバーによるコンサートvol.2 世界を旅して autumn" にて、演奏していただきます。 お近くの方、ぜひいらしてください。 ちなみに、↓が、原曲です。

マンドリンとマンドロンチェロのための「木霊」を出版

この度、マンドリンとマンドロンチェロのための「木霊」を出版しました。 フレット楽器ヤマサキ 様にて、お取り扱いいただいております。 この曲は、芭蕉が「閑かさや岩にしみ入る蝉の声」を詠んだことで知られる山形県の立石寺(通称:山寺)を訪れた際の印象を曲にあらわしたものです。目に見える景色や、聞こえてくる音の様子(音風景:サウンドスケープ)からインスピレーションを得て、作曲しました。 もともとは マリンバのための作品 でしたが、マンドリンコンサートのために何か作品を、と思い巡らせていましたところ、この曲をマンドリンとマンドロンチェロによるデュオで演奏したら、 マリンバ独奏とはまた違った趣が得られるのではないかと思い、改編してみました。 マンドリン作品としてはちょっと異端な曲想だし、1回限りの演奏になるかなーと思っていたのですが(ゲンダイ音楽作品では、往々にしてありがち)、何件かお問い合わせをいただきまして、この度、出版と相成りました。 ご協力くださったマンドリニストの山下顕様、山下直美様、快く楽譜をお取り扱いくださることご承諾くださったフレット楽器ヤマサキ様に、心より御礼申し上げます。 以下に、楽譜に掲載した曲目解説の抜粋を載せます。ご興味のある方は、ぜひ フレット楽器ヤマサキ 様までお問い合わせください。 なお、このブログでも、お問い合わせを承っております。お気軽にどうぞ。→ お問い合わせ ---------- 《木霊》は、松尾芭蕉が『閑かさや岩にしみ入る蝉の声』を詠んだことで知られる山形市の宝珠山立石寺(通称:山寺)を訪れた際の印象をあらわしたものです。もとはマリンバ独奏のために書かれた作品を、より表現の可能性を求めてマンドリンとマンドロンチェロのデュオ曲として再編しました。 立石寺は千段余りの石段を登ったところにあり、途中の山腹には奇怪な姿をした岩盤が切り立っています。凝灰岩から成るこれら奇岩の表面には無数の風化穴があり、それらの凹凸が山全体に独特の音響をもたらしていると言われています。 第1曲:静寂の中、蝉の声、湧き水の音、木々のざわめきなどがシャワーの如く降り注いでいる様や、それらの音が奇岩に反響している様をイメージしています。リズム表記の違いによるニュアンスを読み取った上で、時間軸の流れを自由に表現してみてください。 第

マリンバとピアノのための「四季の風景」が録音図書の挿入曲として採用されました。

台風一過で、清々しい晴天です。 少しは涼しくなるかなと期待しましたが、まだまだ残暑は続きそうですね。 さて、この度、拙作 マリンバとピアノのための「四季の風景」を、 愛知県稲沢市図書館 障害者サービスとしての録音図書の挿入曲として採用して頂きました。 この録音図書は同図書館独自のもので、定期的に時事や物語などの朗読して録音し、CDにして、無償で視覚障害の方へお届けしているのだそうです。 録音図書は本来、音楽は入れないものだそうですが、利用者の方から音楽の挿入を望む声が多く、この度、縁あって、四季折々の馴染みのある曲を含む拙作を採用していただきました。どうも有り難うございました。 創作をしていると、どうしても自分の世界に籠りがちになり、社会とのツナガリが見えにくくなってしまうことが多いと感じています。 数年前より、社会に対してどのように貢献できるのか自問し、葛藤してきましたが、今回このような形で、自分の音楽が少しでも世の中のお役に立てたことを嬉しく思います。 また、何より、私を信頼して曲をご依頼くださり、快く演奏くださった皆様に感謝いたします。 【初演】 「 間瀬早綾香マリンバコンサート2012」  2012年2月5日 5/R Hall & Gallery(名古屋市)  マリンバ:間瀬早綾香さん  ピアノ:板倉篤子さん 「四季の風景」 は、浜松市在住のマリンビスト 間瀬早綾香さんのご依頼により創作しました。 四季を彩る曲より、「さくらさくら」(日本古謡)、「茶摘」(文部省唱歌)、「里の秋」(海沼實 作曲)、「雪」(文部省唱歌)がメドレーでつづられております。 依頼主様からは、演奏会にご来場くださった皆さんが聴きやすく、どの季節でも演奏でき、しかもお洒落な 雰囲気 (たぶん、このような童謡中心のメドレーにありがちな、子どもっぽさがないように、とのご希望と解釈しました)で、とのご要望がありました。 「お洒落」と言えば「フランス」、と私の中では図式ができあがり、フランス音楽風な要素を取り入れてみようと、あれこれ画策。 そこで、和音に「解決しない第7音」を使用したり、ドビュッシーの曲の断片を挿入したり、「わかる人にはわかる」ドビュッシーの曲からのモチーフを引用したりしてみま

マンドリンとマンドロンチェロのための「四季の風景」を出版【追記あり】

この度、マンドリンとマンドロンチェロのための「四季の風景」を出版いたしました。 大阪の フレット楽器ヤマサキ 様にてお取り扱いいただいております。 ご興味のある方は、ぜひお問い合わせください。 また、私どもの方にご連絡いただければ、直接ご対応させていただきます。 メールでお問い合わせください。 → メールでお問合せ 以下は、楽譜に掲載した曲目解説です。曲の概要をお知りになる上で、ご参考になれば幸いです。 → English ------- 「四季の風景」について 四季を彩る曲より、「さくらさくら」(日本古謡)、「茶摘」(文部省唱歌)、「里の秋」(海沼實 作曲)、「雪」(文部省唱歌)をメドレーでつづってみました。 春→夏→秋→冬と曲は進み、最後にもう一度、春が巡ってきます。原旋律をそのまま用いているものもあれば、冒頭の「さくらさくら」のように、原曲のイメージを残しつつデフォルメしているものもあります。また、上記の曲以外にも、「虫の声」(文部省唱歌)、「春が来た」(岡野貞一 作曲)、「月の光」(ドビュッシー作曲『ベルガマスク組曲』より)からフレーズを引用し、ちょっとした遊び心を演出してみました。四季折々の風情や趣を慈しむように、また、季節の移ろいを楽しむように演奏していただければ嬉しく思います。 トレモロで演奏する音符を指定していますが、 部分によっては指示にとらわれず、自由な解釈で演奏していただいて構いません。また、演奏速度についても、必ずしも指定通りでなくとも、心地よいと感じるテンポで演奏していただいて構いません。演奏者それぞれが感じる四季を、想うまま表現していただければ幸いです。   本作品の完成にあたり、多大なる助言を頂いたマンドリニスト山下顕、山下直美両氏に心から御礼申し上げます。 初演 2012 年 12 月 16 日 KJ ホール(静岡県浜松市) 『時層音楽と音風景』(主催: Contemporary Mandolin Unit STEPS ) マンドリン:山下直美 マンドロンチェロ:山下 顕 --------- マンドリンとマンドロンチェロによるデュオ作品は大変少ないそうです。 私は、ヴァイオリン属では一般的なヴァイオリンとチェロによる

オルガニート演奏による《ぼくたちは水》" Water " for Organito

まちの環境に目を向け、自然を慈しむ気持ちを大切にしようと歌った混声合唱のための拙作「ぼくたちは水」オルガニート(カード式の手回しオルゴール)版の演奏が、YouTubeにアップされました。 この演奏は、2013年 6 月 23 日、東京都杉並区の 角川庭園・すぎなみ詩歌会館 で行われた「 NPO 法人日本水琴窟フォーラム 2013 年度通常総会」にて、浜松市在住の 国際オルゴール協会 ( MBSI )会員・佐々木幸弥氏による録音です。 「ぼくたちは水」は、 ブンテック NPO グループ「音の泉サロン」 (代表:西村昌子)が主催し、 全国ふるさと大使連絡会議 理事の伏見 鐵 氏に審査委員長を 務めていただいた「ふるさとの詩コンテスト」( 2010 年 11 月、於:四日市ポートビル)のグランプリ受賞作品です。作詩者のおおはし竜氏は、三重県桑名市役所にて上・下水道課技師として従事した経験から水の大切さを痛感し、人間と自然との共生について想いを巡らしながら一つ一つことばを紡いでいったそうです。 その後、私が、この詩に込められたメッセージを広く人々につたえるべく混声合唱曲として作曲する機会をいただき、 2011 年 11 月、四日市市総合会館にて 三重大学合唱団 によって演奏されました。そして今回は、この作品をより広く伝え、より多くの共感をいただけるようオルガニート用に編曲するに至りました。 オルガニートは、専用の細長いカードをオルゴール本体に挿入し、付随のハンドルをクルクル回しながら紙送りすることによって音楽を奏でます。このカードにはたくさんの小さな穴があいていて、それらが鉄製のくし歯を弾いて音が鳴るしくみになっています。ハンドルを回すと小さな丸い穴が次々と流れ出て来て、まるで水滴の一粒一粒が語りかけているようにも感じられます。普段何気なく聞いている小川のせせらぎや雨音、そして水道水の音にも、きっと一滴一滴意味があるに違いないと思えてきます。 水に限らず、草花や小さな虫、石ころなど、私たちの周りにある何気ないものの存在に気づき、それらの「声」に耳をすましてみようとした時、地球を取り巻く環境について「大切なもの」が見えてくるのかもしれませんね。 なお、原曲となっ

ふるさと大使かわら版に掲載されましたーオルゴールが奏でる「ぼくたちは水」

全国ふるさと大使連絡会議 発行の「ふるさと大使かわら版」夏季号に、 オルゴールが奏でる「ぼくたちは水」〜大切にしたいふるさとの音〜 と題して書いた寄稿文が掲載されました。 これは、まちの環境に目を向け、自然を慈しむ気持ちを大切にしようと歌った「ぼくたちは水」が、オルガニート(カード式の手回しオルゴール)の曲として、 6 月 23 日、東京都杉並区の角川庭園・すぎなみ詩歌会館で行われた 「 NPO 法人日本水琴窟フォーラム 2013 年度通常総会」で お披露目 された様子を綴ったものです。 「ぼくたちは水」は、ブンテック NPO グループ「音の泉サロン」が主催した 「ふるさとの詩コンテスト」( 2010 年 11 月、於:四日市ポートビル)のグランプリ受賞作品です。 この詩に込められたメッセージを広く人々につたえるべく、混声合唱曲として作曲する機会をいただき、 2011 年 11 月、 四日市市総合会館にて三重大学合唱団によって初演されました。 そして今年6月、この作品をより広く伝え、より多くの共感をいただけるようオルガニート用に編曲するに至ったのです。 「ふるさとの詩コンテスト」で、全国ふるさと大使連絡会議の理事の方に審査委員長を務めていただいたご縁もあり、今回のオルゴール曲としてのお披露目について、ふるさと大使かわら版に投稿させていただきました。 ご掲載いただき、どうも有り難うございました。

打楽器アンサンブルのための《日本のわらべうた》 Japanese Children's Songs for percussion ensemble

数年前に、静岡市のAOIホールで行われた国際交流コンサートで、打楽器アンサンブル《日本のわらべうた》を発表しました。 このコンサートは、静岡市の姉妹都市・米国オマハ市との交流を図る一環として、静岡大学が、ネブラスカ大学オマハ校 (UNO) 音楽学部の教員や学生たちを招待して行われたものです。 曲は「通りゃんせ」「赤とんぼ」『山寺の和尚さん」の3曲をメドレーで繋いだ構成となっています。1曲目「通りゃんせ」の導入部分では、様々な打楽器を用いて奥深い森の中を表現してみました。もし良かったら、ご試聴ください。 この部分の打楽器パートは、きちんとした楽譜にはなっていません。「だいたいこのタイミングで、こんな感じで」というような指示が、図形もしくは言葉で書いてあるだけで、奏者は、互いの音を聴きながら発音タイミングをはかりつつ、演奏しています。いわば「偶然性の音楽」のスタイルを用いています。 予めきっちり楽譜が書かれている場合と異なり、本番はどのような演奏になるかわからない、という大変スリリングなスタイルですが、一期一会の演奏に臨んでいるという緊張感と集中力の相乗効果により、思わぬ名演(ある意味、二度とできない!?)が生まれることがあります。(ジャズの即興演奏では、よくありますよね・・・) 演奏をお聴きになった感想は、いかがでしょう? 手前味噌ながら、怪しい森の中の様子が、よく表現されていると思うのですが・・・(^^) なお、この「打楽器アンサンブル《日本のわらべうた》」は、静岡での国際交流コンサートで初演された後、ネブラスカ大学オマハ校音楽学部パーカッションアンサンブル定期演奏会にて、同大学の学生さん達によって再演されました。この曲を通じて、日米の音楽による交流の一端を担えたことを大変嬉しく思います。

オルゴールの曲を創りました。Music for a music box

今日、拙作の 合唱曲「ぼくたちは水」 を、カード式手回しオルゴール(オルガニート)用に編曲しました。 原曲の混声合唱曲については↓をご覧ください。 混声合唱のための《ぼくたちは水》 オルガニートとは、穴があけられた細長いカードを四角い箱に通し、手でハンドルを回すと音が出る仕掛けになっているものです。 参考→ http://www.izu.fm/shop/sheetorga.htm 今まで、「オルゴール風」な曲をシンセサイザーで弾いたり、DTMで作ったりしたことはありましたが、本物のオルゴールのために曲を創ったのは初めてです。 オルガニートで発音できるのは20音のみ。ピアノの鍵盤に当てはめると、中央ドの1オクターブ下のドから、2オクターブ上のド+上5音まで。つまり、C2〜A4(中央ド=C3)、しかも白鍵のみ。そして、♯や♭のついた変化音は使えません。ゆえに転調はできないし、和音や和声付けも制限されます。 さらに、カードに穴をあける関係上、同じピッチの音を狭い間隔で続けて使うことができません。曲の速さにもよりますが、通常は、同じ音を8分音符で連続させることはできないのです。 この限られた音域および物理的な制約で、いかに曲を表現するか、、、、コレが醍醐味だと感じました。 オルゴールの音はすぐに減衰していまうし、1〜2音だけでは寂しい感じがするので、はじめはやたら音数を多くしたり、オルゴール特有のアルペジオを多用したりしたので、ごちゃごちゃした感じになってしまいました。 何回か手直しして、前半はシンプルに、後半にいくにしたがい同時発音数を多くして盛り上がるように編曲したら、何とかそれっぽくなりました。 ところで、オルゴールの曲(オルゴール本体に差し込むカード)がパソコン上で作れるとは知りませんでした。 その行程は、 楽譜作成ソフトFinaleで編曲 ↓ MIDIデータに変換 (私の場合は、ここまでを自分で行い、後はオルガニート制作に詳しい知人にMIDIデータを渡して仕上げてもらいました) ↓ オルガニート作成用ソフトでMIDIデータを開く ↓ シーケンス上に穴をあける箇所が表示される ↓ これをプリントアウトして専用の紙に印刷 ↓ 専用穴あけ工具(ホチキスみたいなもの)で指定の箇所を穴あける

木霊〜マリンバのための〜 Echo in the Wood for Solo Marimba

独奏マリンバのために作曲した《木霊》は、芭蕉の有名な句『閑かさや岩にしみ入る蝉の声』が詠まれたことで知られる山形の 立石寺(通称:山寺) を訪れた際の印象をあらわしたものです。 曲は、緩ー急ー緩の3曲構成となっています。 第1曲は、静寂の中、蝉の声、鳥の声、湧き水の音、木々のざわめきなどがシャワーのように降り注いでいる様、またはそれらの音が奇岩に反響して聴こえてくる様をイメージして作曲しました。 第2曲は、第1曲とは対照的に、動きのある曲想となっています。「木霊」は樹木に宿る精霊で、山中を敏速に自在に駆け回るとされているそうです。様々な音が反響し合い、山の中を「ぐるぐる巡っている」様を表現してみました。 第3曲は、山寺周辺の夕暮れ時をイメージしています。奥深い山あいに立地しているためか、夏にもかかわらず夕方4時頃になると既にあたりは薄暗く、人気のない参道にはヒグラシの鳴き声がもの悲しく響き渡っていました。その侘しさを、同音連打およびトレモロ奏で表現してみました。  第1曲(抜粋)を、山寺のある宝珠山の風景とともにお聴き下さい。 MIDI音源による抜粋の演奏なので、実際の曲の雰囲気とは異なりますが、ご参考ください。 立石寺は、千段余りもの石段を登ったところにあり、寺に至る山腹には奇怪な姿をした険しい崖が屏風のように連なっています。崖は海底火山の噴出物からできていて、表面には風化による凹凸や風化穴が多数あります。これら表面の凹凸にによって特有の音響効果がもたらされ、その特異な景観とも相まって、山全体には不思議な空間が広かっています。 本作品は、2011年11月静岡にて行なわれた、私の作曲の師匠・大槻寛先生の退官記念演奏会でマリンビストの仙波明子さんによって、初演されました。その後、2012年 12月23日(日)岐阜市民芸術祭「リサイタルシリーズVol.2」で、再び仙波明子さんに拙作「木霊〜マリンバのための」を演奏していただきました。 もし、この曲に興味を持っていただけましたら、楽譜、音源などございますので、メールにて、お問い合わせください。→ メールする

「音楽の語るもの」Sound and Silence -Classroom Projects in Creative Music-

先日、 東京で古本屋巡りをした際、「20世紀の対位法」 とともに、ジョン・ペインターら著「音楽の語るものー原点からの創造的音楽学習」も発見。パラパラと中身を見て「買い」と思い、これも買ってしまいました。 こちらは、定価4,500円のところ、5,000円でした。 この本の存在は、ずっと以前から知っていたのですが、当時は金銭的に余裕がなく、作曲そのものを扱った本や音楽理論書を買うのに精一杯で(何しろ音楽書は高価ですから!)、私にとっては「必要になったら買えばいい」のカテゴリーに属する1冊でした。 しかし、本当に欲しいと思った時には万事休す。既に絶版となっていたのを知り、大変残念に思っていたところ、偶然、古本屋さんで見つけました。 この本は、創造的音楽の授業を目指している学校の先生にとって、授業計画を立てる上で大変参考になると思います。また、授業の場でなくとも、地域学習、課外学習として創造的音楽学習を実践したいと考えている方にも、ぜひ一読していただきたい本です。(と言っても、絶版になってしまったので、入手はなかなか難しいとは思いますが...大きな図書館でしたら蔵書しているかも) さらに音楽の授業のためだけでなく、音楽家が「音楽とは?」「音楽は何を表現するものか?」等、原点に立ち返って音楽を見つめ直す「読み物」としても優れていると思います。 私は、この本の中の「音楽の素材は音と沈黙(sound and silennce)である」「音楽とは、ある表現意図にしたがって音と沈黙を組織することである」という文に、今更ながらハッとさせられました。 自身の創作を振り返ってみると、音、つまりsoundを紡ぎ出すことばかりに集中し、「沈黙(休符)」を効果的に用いようとする配慮に欠けていたなと、自覚させられました。 このことは、ぜひ、演奏家の皆さんにも自覚していただきたいです。書かれている音符を正確に、美しく表現することにのみ留意しないで、休符や、それによって生じる沈黙(静寂)も正確に感じ取って欲しいと。 この本では、実践(体験)しながら音列のこと、ヘテロフォニーや偶然性の音楽などの音楽様式のこと、和声感など、多様な音楽的素養が身に付くプロジェクトが紹介されています。350ページにも及ぶ内容なので、完読するまで

絶版の音楽書を求めて〜古本屋めぐり Looking for used books in music theory

先日、東京に行った際、古本屋巡りをしました。 自由が丘の 東京書房 さんで、絶版になっていたハンフレー・セアール著「20世紀の対位法」を見つけて、思わず買ってしまいました。 定価4,500円だったのが、なんと、8,500円! 以前から欲しいなと思っていたので即、買い!でしたが、それにしてもこのような音楽関係の良書は、需要が少ないということもあってか、すぐに絶版になってしまうのが残念です。(涙) 内容は、20世紀の著名な作曲家、ストラヴィンスキー、ミヨー、バルトーク、ヒンデミット、シェーンベルクなどの作品を、対位法の観点から分析していくというもの。さらに「独自技法の人々」として、ブゾーニ、アイヴス、ヴァレーズらの作品にも触れています。 本書では、20世紀の作曲たちが、和声法による作曲が主流だった18世紀後半〜19世紀より「前の時代」の手法である対位法に再び着目して創作していたことを明らかにし、一見(一聴?)複雑そうに感じる現代曲も、対位法的な分析をすることによって、フレーズ同士の「線対線」の関係を浮かび上がらせ、曲の組み立てや成り立ちを理解できるよう導いています。 冒頭では、半音階的対位法の発展について、バッハの「平均率クラヴィーア曲集 I」の h mollのフーガを例にとって説明してます。この曲は、主題に1オクターブ内の12音すべてを含んでいる先駆的な例として多くの音楽理論書で引用されていますが、この本では、後年の作曲家たちが、いかにバッハのh mollフーガからインスピレーションを得ていたかを、リスト作曲「バッハによる幻想曲とフーガ」の譜例を掲げて、より具体的に示しています。 初めは読みやすいのですが、だんだんと内容が濃くなってきて、曲を知らないと理解不能になってきます。やはりこのような理論書では、参照できる音源が付いていると良いですね。もちろんYouTube、 NAXOS   などで探すこともできますが、中には大変コアな作品もあって、音源が見つからない、あるいは見つけるのにとても苦労する曲もありますから。 かえすがえすも、このような現代音楽に関する本が絶版になってしまっていることを残念に思います。20世紀は、今となっては「過去」になりつつありますが、それでも長いクラシック音楽の歴史から見れば、前世紀の音楽といえども「新

ギター・マンドリン演奏会   Guitar and Mandolin Concert

来る5月4日(土)、三重県鈴鹿市 「鈴鹿ふれあいホール」 で行われる「第4回アンサンブルの集い」(主催:三重県ギター・マンドリン連盟)で、拙作のマンドリン作品を演奏していただくことになりました。 演奏曲は、 ♪風、海、そして ・・・ 空 〜マンドリンとギターのための〜 ♪四季の風景 〜マンドリンとマンドロンチェロのための〜 ♪木霊 〜マンドリンとマンドロンチェロのための〜 の3曲。 山下直美さん(mandolin)、山下顕さん(guitar, mandoloncello)による演奏です。 《風、海・・・》 は、静岡県焼津市を舞台とした演劇のテーマ曲を、マンドリンとギターのために改編したものです。作曲にあたっては、焼津市を訪れて市内を散策。その時感じた風の心地よさ、海(波)の音、空の青さなどを表現してみました。 舞台作品としては、オーケストラ用に書いたものですが、マンドリンとギターに編曲してみると、より港町・焼津の素朴さが感じられ、我ながら気に入っています。 《四季の風景》 は、お馴染みの四季折々の曲をメドレーで繋いだもの。1曲丸ごとのみならず、ある曲のフレーズの断片もところどころ含まれているので、「さて、どんな曲がいくつ出てくるか?」と、玉手箱のようにお楽しみいただけます。 日本の曲だけではありませんよー。なんと、ドビュッシーの曲まで「ちょっとだけ」出てきます。 《木霊》 は、芭蕉の有名な句『閑かさや岩にしみ入る蝉の声』が詠まれたことで知られる山形の 立石寺(通称:山寺) を訪れた際の印象を曲にしたものです。いわゆる、バリバリの現代曲。マンドリン作品では、あまり見かけない作風だと自負しています。 この曲は、もとはマリンバ・ソロ作品として作曲したのですが、昨年12月にマンドリン作品を発表する演奏会を行うことになり、急遽、マンドリンとマンドロンチェロ用に改編しました。予想以上に良い雰囲気に仕上がり、以来、いろいろな機会に演奏していただいております。 ところで、私は昨年からマンドリン作品を手がけ始めたばかりで、まだマンドリンのこと、マンドリン作品のことなど良く知らなかったのですが、どうやら、マンドリンとマンドロンチェロの組み合わせは珍しいようです。 マンドリン属の

《スカラムーシュ》〜クラリネット、マリンバ&ピアノのための〜

ミヨー作曲《スカラムーシュ》を、クラリネット、マリンバ、ピアノの編成のために編曲した作品を、5月26日(日)に、 名古屋の 宗次ホール で初演していただきます。 さらに、その数日後の6月15日(土)には、浜松の 夢・汎ホール でも演奏していただくことになりました。 クラリネット、マリンバ、ピアノという編成は、とても珍しいです。お近くの方、ご興味のある方、ぜひご来場下さい。 【名古屋公演】 日時:5月26日(日)14時開演 会場: 宗次ホール (地下鉄栄駅12番出口徒歩5分) 入場料:2,800円(当日 3,200円) 「NPOいきいきなごや わわわの会」様の主催による、スリランカの子どもたちへの教育支援チャリティーコンサートとなっております。 【浜松公演】 日時:6月15日(土)14時開演 会場: 夢・汎ホール (浜松市中区富塚町4710-9) 入場料:大人 1,500円 高校生以下 500円 演奏は、加藤千晴さん(Cl)、間瀬早綾香さん(Mrb)、板倉篤子さん(Pf) です。 ミヨー(Milhaud)は、 1892年生まれのフランスの作曲家。オネゲル、プラーンクらとともに「フランス6人組」と呼ばれる作曲家集団の一人です。 「スカラムーシュ」は、ミヨー自身が作曲した喜劇「空とぶお医者さん」から抜粋した旋律を繋いで2台のピアノ用に改作されたもので、 全3曲から成る、全体的に 明るく生き生きとした雰囲気の曲です。 中でも「ブラジルの女」と題された第3曲は、サンバのリズムによる陽気な曲調で、聴いていてとても楽しいです。 「スカラムーシュ」は2台ピアノ用他、アルト・サクソフォーン&ピアノ、クラリネット8重奏などの編成の楽譜が市販されていますが、クラリネット、マリンバ、ピアノという編成は珍しいというか、ほとんど初めてではないでしょうか? 今回編曲するにあたっては、2台ピアノ用の楽譜を参考にしました。 2台ピアノでの演奏は何度か聴いたことありましたが、こんなに難しいフレーズを弾いていたんですね、とあらためて勉強になりました。高音から低音まで動く動く...どちらのパートも広い音域に渡って満遍なく音がちりばめられていました。 第2曲、第3曲は、わりとすんなり編曲できたのですが、第1曲については、大い

マリンバアンサンブル《木星》Jupiter for marimba ensemble

マリンバアンサンブルのために、ホルスト作曲の組曲『惑星』より《木星》を編曲しました。 演奏がYouTubeにアップされていますので、ご興味ある方は、下記↓をクリックしてお聴き下さい。 マリンバアンサンブル《木星》 編曲するにあたっては、楽器編成を、マリンバ4台、シロフォン1台、ヴィブラフォン1台、グロッケン1台および各種打楽器とし、マリンバの音色に変化をもたらそうと知恵を絞りました。 音楽を勉強された方や音楽愛好家の方はおわかりのように、後期ロマン派までの作品では、同じモチーフやフレーズがくり返されることが多いのです。特にオーケストラ作品においては、楽器編成を変えることで音色変化が可能になるので、同じフレーズが、楽器の組み合わせを変えて何回も出てきます。ラベル作曲《ボレロ》が、同じフレーズを延々とくり返しているにも関わらず、「飽きない」のは、絶妙なオーケストレーションによる音色変化・ダイナミックスの変化を演出しているからなのです。 《木星》も例に漏れず、同じフレーズが、楽器の組み合わせを変えて何度もあらわれますが、これをマリンバ属という、ほぼ一定の音色によるアンサンブルで、いかに飽きさせず、しかもダイナミック感を醸し出すか、、、、 いろいろと検討した結果、原曲にはない打楽器を加えることによって、音色変化をもたらしたり、音にアクセントを付けたりしようと試みました。 原曲では、大太鼓、シンバル、タンバリン、トライアングルといった、オーケストラではお馴染みの打楽器のみを使用していますが、本編曲では、4種類のタム、ウッドブロック、ウィンドチャイム、それになんと!スライドホイッスルまで登場します。 さらに有名な中間部では、原曲とは異なる和声付けを施し、より情緒的・幻想的な曲想となるようにしました。 いかがですか?お聴きになって、ぜひご自身のグループでも演奏したいとご希望の方は、 メールでご連絡ください。→ メールする

混声四部合唱のための《ぼくたちは水》【追記あり】

混声四部合唱のための作品《ぼくたちは水》を紹介します。 この曲は、「音から環境を考える」活動を10年以上に渡って続けている「ブンテックNPOグループ音の泉サロン」(本部:三重県四日市)が環境をテーマに一般募集した詩の最優秀作品に曲を付けて、混声四部合唱曲として仕上げたものです。 作品は、2011年11月23日、 三重大学合唱団 の皆さんにより、四日市総合会館にて初演されました。 初演を迎えるにあたって、三重大学合唱団の練習場を訪問し、学生の皆さんと、詩に込められた「水自身が語る素直な気持ち」の表現について細部にわたって意見交換を行い、より完成度の高い仕上がりへを目指していきました。その時の様子が、同大学合唱団のブログに掲載されていますので、ご覧下さい。↓ 【 作曲家さんがやってきた 】 詩は、「ぼくたちは水...いつも空からやってきて、山や森育てていくのがお仕事さ」ではじまり、やがて「だけど、このごろ変なんだ」と続き、心ない人々によって汚されていることへの怒りや悲しみ、みんなの役に立ちたいと願う「水」の気持ちが綴られています。 作曲の依頼を受けて、一人称「ぼくたち」として語られている「水」の喜び、悲しみ、怒りなどの感情を、どのように曲として表現するかをじっくりと考えまていました。また、ピアノ伴奏には、水滴、水の流れ、小川のせせらぎ、水しぶきなど、水に関わる音の風景や、水の持つおおらかさ、清らかさなどがイメージできるようなフィギュレーションを取り入れようと色々と思い巡らせていました。 しかし、この作品の仕上げに取り掛かっていたまさにその時、東日本大震災が発生しました。 テレビのニュース番組などで津波の恐ろしさを目の当たりにし、ショックで作曲が手につかない状態がしばらく続きました。水は生命にとって欠くことのできないものである反面、圧倒的な破壊力ですべてを奪い取ってしまう。そんな水の曲を書いていていいのか!書けない!と。 そんな葛藤がありながらも、この曲が出来上がるのを楽しみに待っている人たちがいる、と再度、気持ちを奮い立たせて何とか書き上げることができました。ですので、この作品を聴く度に、「今、生きていることを大切にしよう」「小さな存在だけれど、何か世の中のためになることを考えよう」などと考えた当時のことを思い出しま