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心が折れそうになった時...

「人の一生は重き荷を負うて 遠き道を行くが如し...」とは、徳川家康が残した名言の一つですが、この通り、人生には耐えねばならないことが、たくさんありますよね。

もう、耐えられなくて、我慢できなくて、どうしようもなくなった時、私は、自ら「立ち直り3部作」と名付けたピアノ曲を弾きます。


1. バッハ/半音階的幻想曲とフーガ

 ↓
2. シューベルト/即興曲第3番
 ↓
3. ベートーヴェン/ピアノソナタ「悲愴」第2楽章

バッハの「半音階的・・」で、精神的に追い込み(落ちるところまで落とし)、シューベルトの即興曲で希望を見いだし、最後、「悲愴」第2楽章で平和な気分に浸る、あるいは、悟りの境地まで昇華させる...のです。


その時の状態によっては、「半音階的・・」を弾いている時、涙を流しながら、これでもか、これでもか、と自身を追い込んでいきます。そんな時は、シューベルトを弾いていても希望の光が見いだせず、逆に内声のfigurationが悲しみを煽り、さらに心はざわめいてきます。

でも、そんな時でも、「悲愴」第2楽章を弾き始めたとたん、救われた、と感じます。この曲の最初のAs dur(変イ長調)の和音は、癒し効果抜群だと、私は思うのです。

この和音が、もし1オクターブ上で弾かれるものだったら、そのようには感じないでしょう。もちろん、他の調でもダメだろうし... なんだろう? あの音域の、あのポジションに手をおいて音を出した瞬間、すーっとカラダが浄化されていく...という不思議な感覚になるのです。

ということで、
先日も、心が「折れそう」なほどではないですが、「何だかなー」と思うことがあったので、この3作品を弾きました。やっぱり救われました。おかげで今は、前向きにガンバッテいこうと、すっかり立ち直っています。

音楽って、本当に素晴らしいですね!

(そう言えば、「映画って本当に素晴らしいですね!」という名言ありましたね。。。)

ちなみに「半音階的幻想曲とフーガ」は、私のバイブルと言っても過言ではないほどの曲です。これまでに国内外で、いろいろな先生にレッスンしていただきました。レッスンを受けた楽器も、ピアノのみならず、チェンバロやクラヴィコードでも。


この曲は、d moll(ニ短調)ですが、曲の最後は、D dur(ニ長調)、つまり、d mollの同主長調の主和音で終わっているところが、「救われた」と思える部分です。そのまま、d mollの主和音で終わっていたら、重苦しい気分のままでは?

このように、短調の曲を、主和音である短三和音で終わると思わせて、その同主長調の主和音である長三和音で収める手法を「ピカルディの3度」と言います。「半音階的幻想曲とフーガ」は、ピカルディの効果が大変良くあらわれている曲の一つだと思います。

皆さんにも、落ち込んだ時、この曲を聴けば(あるいは演奏すれば)、癒されるというのがありますか?

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