先日、東京で古本屋巡りをした際、「20世紀の対位法」とともに、ジョン・ペインターら著「音楽の語るものー原点からの創造的音楽学習」も発見。パラパラと中身を見て「買い」と思い、これも買ってしまいました。
こちらは、定価4,500円のところ、5,000円でした。
この本の存在は、ずっと以前から知っていたのですが、当時は金銭的に余裕がなく、作曲そのものを扱った本や音楽理論書を買うのに精一杯で(何しろ音楽書は高価ですから!)、私にとっては「必要になったら買えばいい」のカテゴリーに属する1冊でした。
しかし、本当に欲しいと思った時には万事休す。既に絶版となっていたのを知り、大変残念に思っていたところ、偶然、古本屋さんで見つけました。
この本は、創造的音楽の授業を目指している学校の先生にとって、授業計画を立てる上で大変参考になると思います。また、授業の場でなくとも、地域学習、課外学習として創造的音楽学習を実践したいと考えている方にも、ぜひ一読していただきたい本です。(と言っても、絶版になってしまったので、入手はなかなか難しいとは思いますが...大きな図書館でしたら蔵書しているかも)
さらに音楽の授業のためだけでなく、音楽家が「音楽とは?」「音楽は何を表現するものか?」等、原点に立ち返って音楽を見つめ直す「読み物」としても優れていると思います。
私は、この本の中の「音楽の素材は音と沈黙(sound and silennce)である」「音楽とは、ある表現意図にしたがって音と沈黙を組織することである」という文に、今更ながらハッとさせられました。
自身の創作を振り返ってみると、音、つまりsoundを紡ぎ出すことばかりに集中し、「沈黙(休符)」を効果的に用いようとする配慮に欠けていたなと、自覚させられました。
このことは、ぜひ、演奏家の皆さんにも自覚していただきたいです。書かれている音符を正確に、美しく表現することにのみ留意しないで、休符や、それによって生じる沈黙(静寂)も正確に感じ取って欲しいと。
この本では、実践(体験)しながら音列のこと、ヘテロフォニーや偶然性の音楽などの音楽様式のこと、和声感など、多様な音楽的素養が身に付くプロジェクトが紹介されています。350ページにも及ぶ内容なので、完読するまで時間が掛かりそうですが、自身の音楽の再勉強のためにも読破したいと思っています。
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